肝臓疾患の患者さんの禁酒と退院

 

肝臓疾患の患者さん 

 

私は看護師として働き始めてからもう10年になります。

 

主に入院患者さんを毎日看護しているのですが、これまで本当に様々な入院患者の方がいました。

 

私の勤務先は総合病院で、私自身は内科病棟に勤務しています。入院する原因疾患としては、肝炎や腎盂炎などの2週間程度で退院できる病気もあります。

 

一方で、入院が長引くのは、糖尿病、脂肪肝、腎臓病などの慢性の疾患です。脂肪肝が悪化すると肝硬変になるのですが、肝硬変になる前に病院へ入院できれば、元の健康な肝臓に戻れる可能性があります。

 

あるとき、脂肪肝の状態で入院した患者さんに、とても個性的な人がいました。脂肪肝の原因は、主にお酒です。

 

ですので、脂肪肝の患者さんには、禁酒を守って頂かないといけません。医師から患者さんに、禁酒の指導がされます。ただ、肝臓を悪くする患者さんの場合、大抵はお酒が大好きです。

 

急性の肝炎は、飲酒の有無に関わらず、誰でも肝炎になる可能性がありますが、慢性の肝臓疾患の場合の多くが、お酒が原因です。

 

その脂肪肝で入院した患者さんは、男性の老人でした。子供さんも独立していて、時々見舞いに来てくれていました。

 

入院中は全くお酒を飲むことができないので、入院後、最初のうちは禁酒の禁断症状に苦しんでいたようです。なのでイライラすることが多く、私たち看護師に愚痴を言ったりしていました。

 

ですが入院生活2週間ほどで、お酒を飲まない生活に慣れたようです。ただ大抵の患者さんが、入院生活が長引くと暇を持て余してしまうのです。

 

その男性患者も、暇を持て余して休憩室のソファーでテレビを見たり、他の患者さんと話をしたりしていました。

 

そして病気の状態が改善し、退院の日になりました。

 

退院当日、その患者さんは、

 

「おかげでお酒がやめられました。長生きできます。」と言って退院して行きました。

 

そのご家族たちからも、

 

「あれほどの酒豪だった父を禁酒させる事ができました。ありがとうございます。」

 

と感謝の言葉を頂きました。

 

こういった言葉をいただけるときこそ、看護師をしていて本当に良かった、嬉しかったと心から思えるのです。